熱が原因で皮膚や粘膜に損傷を受けることを指します。
医学的には「熱傷」と呼ばれています。
やけどは深さによって分類されています。
- Ⅰ度:表皮までのやけど
- Ⅱ度(浅達性):真皮の浅いところまでのやけど
- Ⅱ度(深達性):真皮の深いところまでのやけど
- Ⅲ度:皮下組織にまで達するやけど
Ⅰ度のやけどは赤くなるだけでみずぶくれはできません。
Ⅱ度のやけどは真皮のどこまで達したかで「浅達(せんたつ)性」と「深達(しんたつ)性」の2種類に分類されます。
Ⅱ度でも浅達性であれば治った後少し茶色っぽく色素沈着することもありますがケロイドなどまでは残りません。
深達性Ⅱ度、Ⅲ度熱傷はきちんと治療をしても瘢痕(はんこん)が残ります。
―やけどは冬に多いイメージですが、実際どうでしょうか?
季節問わず、結構な人数の方がやけどのために受診されます。
ただ、原因には、季節性が見られます。
例えば、冬によくみられるやけどの原因は卓上のホットプレートに触ってしまうなど。
特にお子さんに多く見られますね。
また、夏だとバーベキューの鉄板や鉄板に置きっぱなしになって熱くなったトングに触れてしまうなど。
また、日焼けによるやけどで来院される方も実は多いんですよ。
日焼けも一種のやけどですから。
特に日焼け止めを塗らなかったり塗り直さずにビーチで寝てしまいやけどになったという方もいます。
最初はパラソルの影にいたはずなのに時間の経過とともに太陽が移動して起きた時は太陽がサンサンと当たる日なたになってしまっていたとか。
あと、Tシャツやラッシュガードを着ないでシュノーケリングをしていてやけどになってしまう方もいますね。
シュノーケリングは肩や背中が露出しやすくまたついつい長時間やってしまいがちで気づくとまる焼けになってしまうことがよくあります。
一方、季節性のないやけどの原因として最近増えているのがヘアアイロン。
顔周りにやけどを負ってしまう場合が多いので使われる方は気を付けていただきたいですね。
また、お料理中のやけども1年を通して多く起こります。
料理している人が熱い鍋やヤカン、オーブンの鉄板に触ってしまったり。
蒸気によるやけども多いですね。
カップ焼きそばの湯切りをしているときの蒸気や炊飯器の蒸気などでもやけどは起こります。
あとは、油で調理しているときですね。
炒め物や天ぷらで油がはねたとか。
―実は、私は目の下のシミがあるのですがゴボウのから揚げを作っているときに油がはねてできたものなんです。はねた瞬間は少し痛いくらいだったのですがしっかり跡に残ってしまって……。油のやけどは跡に残りやすいとかありますか?
跡に残る・残らないはどれだけ早く応急処置できるかで決まってきます。
受傷したときに、どれだけ早く熱を下げられるかが重要になります。
水道水の流水で冷やすのが一番いいですね。
貯めた水だと、どんどん水が温まってしまいますよね。
流水で最低5分から30分ほど冷やしてあげてください。
水圧は強くなくて大丈夫です。
あと、氷や保冷剤を使う方もいらっしゃいますが、あまりお勧めしませんね。
氷や保冷剤は冷たすぎるため、冷やしすぎると凍傷になる恐れがあります。
特に冬場だったり、小さなお子さんやご老人の場合冷やしているうちに低体温になってしまう場合があるので気を付ける必要があります。
また、たまに熱さまし用のジェルシートを患部に貼る方もいるのですがあれは接着性があり皮膚にベタッと貼りついてしまうのでやけどの処置としては不適切です。
―衣服の上からやけどを負ってしまった場合、どのような応急処置をすればいいですか?
衣服を脱がず、衣服の上から流水で冷やしてください。
ある程度熱がとれたら、脱いでも大丈夫です。
ただ、かなり深いやけどだったり衣服の素材によっては肌に貼りついてしまうこともあるのでそういう場合は無理にはがさず、そのまま医療機関を受診してください。
―やけどを跡に残さずきれいに治すためには「早く流水で冷やす」のが重要なんですね! 次回は、「低温やけど」について教えていただきたいと思います!
- タナベ皮フ科クリニック院長
田辺 和美 先生
- 慶應義塾大学医学部卒業、真皮エラスチン研究において医学博士号取得。
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
ニキビやアレルギーなどの皮膚疾患から女性特有の肌の悩みや美容に関する相談まで幅広く対応。薬による治療だけでなく、食生活やライフスタイルの改善アドバイスにより、根本的な治療を目指す。
タナベ皮フ科クリニックHP
- 小林未佳
- 関西学院大学理学部卒業後、化粧品メーカーにおいて研究・開発に従事。その後、化粧品の商品企画・マーケティングへと転身。2018年、これまで培った化粧品や美容の知識を発信するべく、ライターとして独立。
All About Beauty 公式ガイド。
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