頭皮から代謝して剥がれ落ちた角層です。
フケには乾燥してカサカサの「乾性フケ」と脂っぽくベタベタとした「脂性フケ」の2種類に分類されます。
―フケには2種類あるのですね。ではまず「乾性フケ」について教えていただけますか?
乾性フケは主に冬場に多くみられますね。
サラサラと粉雪のように舞うタイプのものです。
原因は頭皮の乾燥です。
一番気をつけるべきはシャンプーです。
洗浄力の強いシャンプーを使っていたり1回の洗髪に使うシャンプーの量が多すぎたり。
特に最近のシャンプーは洗浄力が強いものが多いので皮脂などを取りすぎてしまって頭皮が乾燥してしまっている方が多く見られます。
また、頭皮に刺激を与えない洗い方も重要です。
指の腹でソフトに洗うこと。
最近は「頭皮をしっかりと洗わないといけない」というイメージが定着し、爪をたててゴシゴシしたりシャンプーブラシなんかを使って必要以上に頭皮に刺激を与えている人が多い印象です。
頭皮への刺激を考えるとあまりよくないですね。
あと、洗髪後のドライヤーも要注意です。
ドライヤーを頭に近づけすぎてしまうと熱によって頭皮が乾燥してしまいます。
ドライヤーを使う距離に気をつけてくださいね。
あと、夏場の紫外線は要注意ですね。
特によくみられるのが髪の分け目が紫外線にあたり日焼けして乾燥してしまっている方。
帽子や日傘で適切に紫外線を防いでください。
あとはダイエットによる栄養不足や睡眠不足、ストレスなんかも頭皮のターンオーバーの乱れの原因となり、乾性フケが出やすくなってしまいます。
―よくわかりました!ではもうひとつのタイプ、脂性フケについて教えてください。
脂性フケは少し湿った感じのフケです。
乾性フケのようにハラハラと舞い散るのではなく髪の根本にベタっとくっついているタイプ。
毎日洗髪しているのに何となく頭皮がべたついている……という方に多いですね。
こちらは、比較的男性に多く見られます。
男性ホルモンに皮脂分泌を活発化させる働きがあるためです。
若いころにニキビができやすいタイプだと中年以降に脂性フケが出やすかったりします。
脂性フケには脂漏性皮膚炎という病気が隠れていることもあります。
脂性フケのケアは、乾性フケのものとは反対でしっかりと洗ったほうがよいですね。
皮脂をえさに繁殖するマラセチア菌というカビの一種が頭皮に繁殖してしまいさらにフケが悪化することがあります。
そのため一般的にフケ取りシャンプーと呼ばれるカビを殺す成分が配合されているシャンプーを選ぶといいですね。
―同じ「フケ」といっても、対処法が正反対なんですね。
そうなんです。
実はそれだけではなくフケだと思っていたら実はアトピーだった、とか、シャンプーやヘアケア剤、染毛剤にかぶれて湿疹が発生していた、なんてこともあります。
また、最近モデルさんが告白したことによって一般の方にも広まった「乾癬(かんせん)」という病気も、頭から起こることが多くて、ひどいフケに悩んでいたら実は乾癬だった、ということもあります。
一言で「フケ」といっても、どのタイプに該当するか等は自分では中々わからないし、実は病気が潜んでいる場合があります。
気になるようでしたら、一度皮膚科を受診されることをおすすめします。
―フケって友人や家族にも相談しにくいし言いにくいし、逆に他の人からも指摘もされにくいと思うのですが、そんなときこそ医療機関に相談するのがいいんですね。ありがとうございました!
- タナベ皮フ科クリニック院長
田辺 和美 先生
- 慶應義塾大学医学部卒業、真皮エラスチン研究において医学博士号取得。
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
ニキビやアレルギーなどの皮膚疾患から女性特有の肌の悩みや美容に関する相談まで幅広く対応。薬による治療だけでなく、食生活やライフスタイルの改善アドバイスにより、根本的な治療を目指す。
タナベ皮フ科クリニックHP
- 小林未佳
- 関西学院大学理学部卒業後、化粧品メーカーにおいて研究・開発に従事。その後、化粧品の商品企画・マーケティングへと転身。2018年、これまで培った化粧品や美容の知識を発信するべく、ライターとして独立。
All About Beauty 公式ガイド。
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