
コイン状に、丸く円形に抜ける脱毛症のことです。
1か所だけのときもありますが、多発型円形脱毛症といって、同時にたくさんできることもあります。
また、まれなケースではありますが、頭のすべての毛が抜け落ちてしまう全頭脱毛が起こることもあります。
あと、悪性の場合は髪の毛だけでなく、眉毛やまつ毛、腋毛など身体の毛がすべて抜けてしまうこともあります。
ただ、一般的には1~3個の円形脱毛ができる方が多いですね。
脱毛部分の大きさについては、重症度によって異なります。
最初発見した時は1円硬貨くらいの小さなものだったけれど、だんだん大きくなって500円硬貨ほどになってしまった、なんて方もいらっしゃいます。
また、隣り合った2つの円形脱毛が一緒になって倍ほどの大きさになってしまった、なんてこともあります。
あと、
円形脱毛症は、子ども・大人関係なくできます。
発症の平均年齢は33歳だというアメリカでのデータもあります。
また、男女差もないとのことです。
―誰にでも起こりうるのですね。よくストレスが原因になっている、なんて聞いたりするのですが円形脱毛症の発生原因はなんですか?
円形脱毛症がストレスと関連するのか、という議論はとても多いのですが、確実な関連性はまだ証明されていません。
今のところ、円形脱毛症の原因は明らかになっていませんが、毛包組織に対する自己免疫疾患ではないか?といわれています。
本来、免疫とはウイルスなど外部から侵入してきたものを攻撃して、身体を守るシステムのことです。
その免疫が何らかの理由によりウイルスだけでなく、自身の身体まで攻撃してしまい発症してしまうことを「自己免疫疾患」といいます。
円形脱毛症の場合、免疫が毛包を攻撃して壊してしまいます。
毛包は発毛・育毛に大きく関わる部位のため、ここが壊されることで毛が抜け落ちてしまうのです。
また発症については、遺伝的要素があると示唆されています。
円形脱毛症は、一親等内で誰かが円形脱毛症がいたとすると、そうではない人に比べて約10倍ほど発症率が高くなるといわれています。
また、一卵性双生児の場合、2人とも発症する確率は50%以上といわれています。
治療法のガイドラインが定められていて、いろいろあります。
その中でもポピュラーな治療法は、ステロイドの外用剤を塗布することです。
重症の場合は、外用剤だけでなく、皮膚にステロイドを注射したり、ステロイドの点滴や内服をすることもあります。
ですが、1か所だけの単発型や、数ヶ所抜け落ちるような進行の遅い融合傾向のない多発型の円形脱毛症であれば、特に治療をしなくても元通りに生えてくるのであまり心配ありませんよ。
残念ながら確実に予防するという方法はありません。
ただ、疲労や感染症、肉体的・精神的ストレスが引き金になってできるのではないかといわれているため、ストレスや疲れをためず、規則正しい健康的な生活を心がけることは重要だと思います。
円形脱毛症に気付いたときは、皮膚科を受診してください。

円形脱毛症などは、なかなか人に言えなかったり、聞けなかったりしますので、一人で悩みがちです。
皮膚科に来てもらえれば適切なアドバイスや処置を受けることができますので、悩んでいる人はぜひ受診してみてください。
だいたいの円形脱毛症は、適切な処置で元通りの状態に戻すことができます。
―円形脱毛症になっても大体の場合であれば、元通りに治ると聞いてとても安心しました!ためになるお話、ありがとうございました。
- タナベ皮フ科クリニック院長
田辺 和美 先生
- 慶應義塾大学医学部卒業、真皮エラスチン研究において医学博士号取得。
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
ニキビやアレルギーなどの皮膚疾患から女性特有の肌の悩みや美容に関する相談まで幅広く対応。薬による治療だけでなく、食生活やライフスタイルの改善アドバイスにより、根本的な治療を目指す。
タナベ皮フ科クリニックHP
- 小林未佳
- 関西学院大学理学部卒業後、化粧品メーカーにおいて研究・開発に従事。その後、化粧品の商品企画・マーケティングへと転身。2018年、これまで培った化粧品や美容の知識を発信するべく、ライターとして独立。
All About Beauty 公式ガイド。
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