2021.02.23
\皮膚科専門医に聞く/ 手荒れを防ぎながら手指を清潔に保つ方法 -手洗い編-
Doctor's column


コロナ禍において、私たちの生活の中に欠かせないものとなった「手洗い・消毒」。
1日のうちで何度も手洗いや消毒をすることで、手荒れに悩む人が増えているように思いますが、いかがでしょうか?
今回は、コロナ禍において手荒れを防ぎながら手指を清潔に保つ手洗いの方法を田辺先生に教えていただきました!
そうですね、手荒れに悩む方は増えている印象です。
―今回は「手洗い」について教えていただきたいと思います。実際、手洗いは手荒れの原因になってしまうのですか?
間違った方法で手洗いを繰り返すと手荒れの原因となってしまいます。
正しい手洗いの方法を知っていれば、ある程度は手荒れを防ぐことができます。
―正しい手洗いの方法をきちんと知ることが大切なのですね! ぜひ手洗い時に注意すべきポイントを教えてください!
まず、気をつけたいのが「使う水の温度」。
特に冬場は寒いからといってお風呂のお湯くらいの熱いお湯で洗う方もいますが、それは良くありません。
熱いお湯は皮脂を取り去る“脱脂作用”が強く、乾燥や手荒れの原因になってしまいます。
―冷たい水のほうがよいのでしょうか?
水温が低いほど脱脂作用は弱くなるのですが、寒い時期は冷たい水に触れたくないですよね。
そんな気持ちから冷たすぎる水で手洗いをすると不十分となり、きれいに洗えないことがあります。
そのため、32~33℃くらいの「ちょっと冷たいな」と思うくらいのぬるま湯で洗うことをおすすめしています。
―「ちょっと冷たいな」と思うくらいのぬるま湯、が重要なのですね! 手荒れを防ぐための洗い方のコツはありますか?
「しっかりと泡立てて洗う」ということが重要です。
そしてゴシゴシとこするのではなく、たっぷりの泡でやさしく丁寧に洗うことが大切です。

―1日に何回も手洗いするので、泡立てるのが面倒で泡立てが不十分だったかもしれません……。
ハンドソープを泡立てないと手荒れの原因になるだけでなく、汚れもきちんと落ちません。
泡立てるのが苦手・面倒だ、という方は泡で出るタイプのハンドソープを使うのがおすすめですよ。
―すぐに泡で出るタイプのハンドソープを買いに行きます! ちなみに、ハンドソープはどう選べばよいですか?
昨今のコロナ禍においては、外出先から帰宅直後や食事の支度前などは殺菌効果のあるハンドソープがおすすめです。
それ以外のときは低刺激性かつ保湿成分などが配合された手肌にやさしいものを選ぶといいですね。
―ハンドソープも目的にあわせて2種類用意しておくといいのですね! その他、手洗いで注意することはありますか?
すすぎをしっかりして、ハンドソープの成分を手指に残さない、ということが大切です。
特に指の間はすすぎ忘れが多いので意識してすすぐようにしてくださいね。
そして、すすいだ後は清潔なタオルで丁寧に水気を拭き取りましょう。
このときも、指の間を拭き忘れがちなので注意してくださいね。
―“指の間”はすすぎも、その後のふき取りも忘れがちなので注意すべきポイントなのですね。手洗いの後はハンドクリームなどを塗ったほうがよいのでしょうか?

手洗いのたびにハンドクリームは塗ることをおすすめします。
指の1本1本、指先、爪の周りまで丁寧に。
就寝前には多めにハンドクリームを塗って、ハンドケア用の手袋をするのもおすすめです。
―毎日頻繁に行うようになった手洗い。1回1回が適当になってしまっていましたが、これからは教えていただいたことを守って手荒れを防ぎながら手の清潔も保っていきたいと思います!

次回は「消毒編」です。お楽しみにお待ちください!
■お話を伺った先生
田辺 和美 先生
慶應義塾大学医学部卒業、真皮エラスチン研究において医学博士号取得。
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
ニキビやアレルギーなどの皮膚疾患から女性特有の肌の悩みや美容に関する相談まで幅広く対応。
薬による治療だけでなく、食生活やライフスタイルの改善アドバイスにより、根本的な治療を目指す。
タナベ皮フ科クリニックHP
■ライター
関西学院大学理学部卒業後、化粧品メーカーにおいて研究・開発に従事。
その後、化粧品の商品企画・マーケティングへと転身。
2018年、これまで培った化粧品や美容の知識を発信するべく、ライターとして独立。
All About Beauty 公式ガイド。
