2022.06.06
教えてドクター! あせも
Doctor's column


暑い季節になると、首のまわりやひじ、膝の内側に“あせも”ができてしまうことはありませんか?
あせもはその名の通り、汗が原因で起こるもの。
あせもができてしまった場合どうすればよいのでしょうか?
予防法はあるのでしょうか!?
今回は “あせも”について、タナベ皮フ科クリニックの院長である田辺 和美先生に詳しく教えていただきました!

―“あせも”はなぜできるのですか?
あせもとは、汗を出す管「汗管(かんかん)」がつまって起こる皮膚疾患で、医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれます。あせもには大きく2種類があります。
① 水晶様(すいしょうよう)汗疹
汗管が皮膚の比較的浅い部分(角層部分)で詰まってできるあせもです。透明で小さな水膨れのようなものがたくさんできます。
水晶様汗疹の場合、皮膚表面のプツプツ以外に、かゆみや痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
② 紅色(こうしょく)汗疹
汗管が表皮部分でつまってできるあせもです。表皮の中で汗管が詰まって破裂し、炎症が起きた状態です。そのため、かゆみや痛みを伴う赤いブツブツができます。
一般的にみなさんが想像するあせもがこの紅色汗疹です。
紅色汗疹を掻き壊してしまうと、「汗疹性湿疹(かんしんせいしっしん)」に発展してしまうことがあります。
―あせもができやすい肌質とかあるのでしょうか?
大人であれば肌質というよりも、環境によるものが大きいと思います。
例えば料理人など高温多湿の環境下にいることが多い方にできやすいですね。
ただ、多汗症や汗っかきの方、肥満の方もできやすい傾向があります。
―あせもというと、子供にできやすいイメージですが、実際はどうでしょうか?

お子さんはもともと体温が高く、汗管が未発達で詰まりやすかったりするので、大人よりあせもができやすいですね。
―あせもができてしまったらどうすればよいですか?
水晶様汗疹の場合は特に何もしなくても数日で治まります。
紅色汗疹の場合は、かかないことが大切です。
どちらの汗疹の場合も、汗をかいたらすぐにぬぐったりシャワーなどで流したりして、皮膚を清潔に保つことが大切です。
また、できるだけ涼しいところで過ごすように心がけるといいですね。
―あせもを予防することはできますか?
先ほども申し上げましたが、「かいた汗をそのままにしない」ということが大切です。
また、衣類も
・通気性、吸水性のよい素材(締め付けの少ないもの)
・ストレッチ性が高い衣類は避ける
などを選ぶとよいですね。
腰痛緩和のためのコルセットや、骨折の時にギプスをしている時はどうしてもあせもができやすくなってしまいます。こういう時もできるだけ清潔な状態を保てるように汗をかいたらぬぐったり流したり、ということを意識してくださいね。
―ありがとうございます!
今年の夏も猛暑が予想されていると聞くので、あせもに気を付けたいと思います!
■お話しを伺った先生
田辺 和美 先生
慶應義塾大学医学部卒業、真皮エラスチン研究において医学博士号取得。
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
ニキビやアレルギーなどの皮膚疾患から女性特有の肌の悩みや美容に関する相談まで幅広く対応。
薬による治療だけでなく、食生活やライフスタイルの改善アドバイスにより、根本的な治療を目指す。
タナベ皮フ科クリニックHP
■インタビュアー/ライター
関西学院大学理学部卒業後、化粧品メーカーにおいて研究・開発に従事。
その後、化粧品の商品企画・マーケティングへと転身。
2018年、これまで培った化粧品や美容の知識を発信するべく、ライターとして独立。
All About Beauty 公式ガイド。
