―私は花粉症なのですが、3月に入って鼻水や目のかゆみだけでなく、顔の目の周りの皮膚がチリチリと赤くなって痛みもあるのですが、この症状は花粉となんらか関係があるのでしょうか?
症状を聞く限りではおそらく「花粉皮膚炎」ですね。
意外と鼻や目の症状は花粉とイメージが結び付きやすいのですが、皮膚にも花粉の影響はでます。
主な症状としては、目の周りや頬を中心にかゆみや赤味、灼熱感だったりがあります。
花粉の時期にこういった症状が出ると、花粉皮膚炎が疑われます。
特に目の周りは皮膚が薄く、症状があらわれやすい傾向があります。
また目を知らず知らずのうちに掻いてしまっている方も多く、掻くとバリア機能が壊れてしまいそこに花粉が付着して、皮膚炎を起こしてしまう…
という悪循環もありますね。
ただ花粉による鼻や目の症状がほとんどなく皮膚だけに強く出る、という方もいらっしゃいます。
そういう場合は、まずアレルゲン特定のための血液検査を行なって、炎症の原因を明らかにします。
―花粉皮膚炎が起きてしまった場合、どうすればよいでしょうか?
掻いてしまうとどんどんひどくなってしまうので、掻かないことが大切です。
花粉皮膚炎は一時的なものというより、花粉が飛んでいる間は症状が続く可能性があります。
2月くらいからはじまって、4月くらいまで。
ヒノキにもアレルギーを持っていれば、もう少し続いてしまいます。
そのため症状がひどい場合は、ステロイド剤を塗ったり、抗アレルギー剤を飲んでいただくことがあります。
皮膚にしか症状がでない、もしくは皮膚以外の症状が軽いという方に対しては、必要であれば血液検査をして、花粉に対する反応があれば抗アレルギー剤の服用をおすすめします。
日常的な対策としては、まずは花粉を顔につけないことが大切です。
大きめのマスクをしたり、花粉対策の眼鏡をかけたり。
ぼうしを被ることでも顔への花粉の付着を少なくすることができます。
また、家に帰ったらすぐに洗髪・洗顔をすること。
ついてしまった花粉をいち早く洗い流すことが重要です。
また、家の中で花粉をまき散らさないことも大切です。
花粉を家に持ち込んでしまうと、家の中でも症状がとまらなくなってしまいます。
花粉がついてしまえば痒くなってしまうので、ステロイド剤などで炎症を抑えても症状は繰り返し起きてしまいます。
空気清浄機などを使って部屋の空気をキレイにすることも効果的だと思います。
―最近、花粉や大気汚染物質などを寄せ付けないというBBクリームなどもありますが、そういった化粧品を使うことは有効でしょうか?
肌に直接花粉がつかない、という点ではよいかと思います。
皮膚について炎症が起きる可能性があるので皮膚を保湿しながら付着させないという「予防発想」の化粧品を活用するのはいいですね。
外から帰ってきたらすぐにお化粧と一緒に落としましょう。
ただ、花粉皮膚炎など肌荒れが起きてしまっている肌の場合は、無理にお化粧することは避けたほうがよいですね。
残念ながら、花粉皮膚炎は花粉が飛び終わらないと完治はしません。
そのため、花粉の時期をどう過ごすかが大切です。
―私は花粉で鼻水もひどいのですが、この時期は鼻をかみすぎて真っ赤になってしまうのですが、何かいい対処法はありますか?
私自身も花粉症なのですが、家で鼻をかむ時は柔らかいタオルで拭いたり、洗面所へ行って水で流しながら鼻をかんだりしています。
洗い流した後は鼻まわりが乾燥してしまうので、しっかり保湿しています。
鼻は赤く荒れてしまっても、鼻水が出ると鼻をかまないといけないですよね。
一回一回の鼻かみを最小限の刺激で抑えてあげることが大切です。
ただ、外出先ではこういった事は難しいので、肌当たりの優しい保湿ティッシュを持ち歩いています。
根本的に、抗アレルギー剤の服用や点鼻薬の使用、マスクの着用などを徹底し、鼻をかむ回数を減らすことも重要ですよ。
―先生が実践されている鼻のかみ方、とても勉強になります!今日から実践させていただきます!ありがとうございました!
- タナベ皮フ科クリニック院長
田辺 和美 先生
- 慶應義塾大学医学部卒業、真皮エラスチン研究において医学博士号取得。
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
ニキビやアレルギーなどの皮膚疾患から女性特有の肌の悩みや美容に関する相談まで幅広く対応。薬による治療だけでなく、食生活やライフスタイルの改善アドバイスにより、根本的な治療を目指す。
タナベ皮フ科クリニックHP
- 小林未佳
- 関西学院大学理学部卒業後、化粧品メーカーにおいて研究・開発に従事。その後、化粧品の商品企画・マーケティングへと転身。2018年、これまで培った化粧品や美容の知識を発信するべく、ライターとして独立。
All About Beauty 公式ガイド。
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