2016.07.26
皮膚科医に聞く 毎日浴び続ける「ブルーライト」から肌を守る方法
スキンケア
しかし、"スマホ社会"とも言われる現代、第3の紫外線とも称されるのがブルーライトの存在。とくにいつもオフィスでパソコンに向かっている働き女子にとっては、死活問題ですね。なんでも、目が疲れるだけでなく、肌にまで影響があるというのですから......。
そこで今回は、表参道美容皮膚科・原宿本院の皮膚科担当医・三宅真紀先生に、ブルーライトによる目の影響だけでなく、シミやくすみなど肌の老化を招く作用があること、今日からできるブルーライト対処法まで幅広くうかがいました。
ブルーライトの正体とは?
電磁波のうち、ヒトの目で見える波長のものを、可視光線と言います。可視光線の波長は、およそ400~800nm(ナノメートル)ですが、そのうちブルーライトは380~500nmの青色光を指します。そして400nmより短くなると紫外線、700nmより波長が長くなると赤外線と呼ばれます。
そして、ブルーライトとは、人の目で見ることのできる光=可視光線の中でも、もっとも波長が短く、強いエネルギーを持っているものを指します。
目の角膜や水晶体は、およそ350nm~800nmの波長を透過させます。角膜、水晶体を通過し網膜に到達する光の中で、紫外線にもっとも近い強いエネルギーを持つ光が、ブルーライトなのです。
例えばパソコン、スマートフォンなどのLEDライトは、460nmの波長を持つブルーライトを主な光源として人が作り出したもの。それらに毎日かなりの時間向き合っていると思うと、体への影響は本当に心配になりますね。
スマートフォンやゲーム機器は、ブルーライトによる目への影響が深刻!
ここで興味深いのは、私たちが画面を見ている電気機器のうち、すべてが同じ量のブルーライトを発しているわけではないという点です。
機器によって発されるブルーライトの量に違いがあり、ブルーライトが多い量から並べると、スマートフォン、携帯ゲーム機、パソコン、液晶テレビの順になります。
ブルーライトは、睡眠の質を下げるという恐ろしい事実
本来であれば、コンビニエンスストアの蛍光灯に代表される強い光や、ブルーライトの量を感知する時間が減ると脳が夜になったと判断して、睡眠を司るメラトニンの分泌が活発になります。そしてこのメラトニンのおかげで、私たちはぐっすり眠りにつけるのです。
しかし、網膜がブルーライトによる強い刺激を受けると、脳は朝になったと勘違いをして、メラトニンの分泌が減少し目が覚めます。実際は朝ではないのに体内が覚醒してしまうことで睡眠のサイクルが崩れ、眠りが浅くなったり、寝付きが悪くなったりという症状が招いてしまいます。
ブルーライトを寝る前に見ることで、メラトニンの分泌が減少してしまい、体内時計が狂うので、睡眠の質が悪くなるのですね。
そこで、寝る前には極力スマートフォンをチェックせず、ブルーライトがあまり含まれていない暖色照明に切り替え、さらに間接照明のように光が直接目に入らない工夫をするのがおすすめです。
肌の老化さえ引き起こす、ブルーライトの影響
紫外線と同じように、ブルーライトは肌の深くまで浸透し、約1時間浴びると、色素沈着(日焼け)、シミの原因になるという研究結果も発表されています。また実は、目を酷使することで、脳がストレスを感じて、副腎皮質ホルモンの分泌が増えるため、肌のくすみの原因につながります。
さらにメラトニンが減少し、体内時計が狂うことによる睡眠障害によって、良質な睡眠がとれず、間接的に肌あれ・ニキビ・くすみ、肌の老化などが起こることも無視できません。
そしてブルーライトを浴びることにより、老化の原因となる活性酸素が増加するとも言われています。
ブルーライトは直接目への影響以外に、肌に様々な影響が起こり得ることは、ぜひ知っていただきたいことですね。
ブルーライトから守るため、今すぐできること
- ・ディスプレイの明るさを下げる。
- ・ディスプレイの青色光のみの輝度を下げる。
- ・ディスプレイに表示される文字を大きくして、ディスプレイからの距離をとる。
- ・ブルーライト対策用の眼鏡を使う。
- ・ブルーライト対策用の液晶フィルムを使用する。
- ・寝る前のパソコン スマートフォンの使用は控える。
- ・休日はなるべくブルーライトを浴びる環境を避ける。
現在のライフスタイルでは、スマートフォンは働く女子の生活に欠かせないもの。上手に使えば、短時間で情報収集ができたり、人とコミュニケーションが取りやすくなったりなど、私たちの生活の質を上げてくれる便利なツールです。
ただ、ブルーライトが体に与える悪い影響や睡眠の妨げになるという事実は、理解しておくことが必要です。ブルーライトの影響をよく知ったうえで、便利に使いながら、できるだけブルーライトから身を守ること、夜の情報収集タイムを朝にシフトするなど、自分に合った対策を行って、上手に付き合っていきたいですね。
<取材協力>
三宅真紀(みやけ・まき)先生
2005年関西医科大学卒業後、厚生中央病院に勤務。その後2007年にシロノクリニックに入職し、2009年にシロノクリニック横浜院院長に就任。2015年より表参道美容皮膚科原宿本院に入職。
Text:Yuki Ishihara